自宅でのボーカルレコーディングに必要な最低限の機材とソフトについてご紹介します。
ボーカルレコーディングに必要な機材全部
・最低限これだけは必ずそろえましょう。
□ パソコン、またはタブレット端末
□ オーディオインターフェース
□ ボーカル用コンデンサーマイク
□ マイクケーブル
□ マイクスタンド
□ ポップガード
□ 密閉型ヘッドホン
人によっては、上記のうちどれかについて「無くても大丈夫」と言う方もいるかもしれませんが、ダメです。大丈夫ではありません。
パソコン/タブレット
・ねらい目は安くて高スペックなBTOパソコン
「歌をレコーディングする」ということだけに絞れば、どんなスペックのものでもOKです。ぼくの経験では20年前のWindowsパソコンでも同様のことができていたように記憶しています。別項目でお話します「DAWソフトウェア」の動作環境を満たしていれば問題ありません。
パソコンの録音以外の用途次第ではありますが、店頭で売っているパソコンならばどれでも、デスクトップでもノートでもタブレットでも良いと思います。
ただ、スマートフォンは、今後に期待、ですが、まだおすすめできません。
歌をレコーディングする、という場合、レコーディングしたデータを目でも耳でも確認して、最低限の編集をする必要があります。
そういった作業において、画面が小さく、キーボードやマウスなど外付けデバイスの併用を前提としないスマートフォンは、今のところまだ使いにくく、現実的ではないように思います。
パソコンを購入するなら、ぼくのおすすめはBTOパソコンを扱っているPC販売専門店のものです。
↑BTOパソコンを扱っている大手PC販売店・TSUKUMO。高スペックのパソコンを格安で購入できます。
Macは、よほどデザインや「Mac使ってます」感にこだわらない限り、値段が高いのであまりおすすめしません。
われわれはまだまだ他に買うものがありますので、確かなものをできるだけ安く買う、ということを優先するのがよい、と個人的には考えています。
オーディオインターフェース
・マイク入力端子が一つ以上あるものを選びます
プロの現場では、マイクからパソコンに録音されるまでの間にさまざまな機材を経由しますが、その中から最低限必要なものに絞って1つにまとめたものがオーディオインターフェースという機材だと考えてください。
このオーディオインターフェースを、USBなどのケーブル(ほとんどの場合オーディオインターフェースを購入すると付属しています)を介してパソコンとつなげます。USBだけではなく、FireWireやThunderboltなど、接続端子にもいくつか種類があり、とうぜんパソコン側が該当する端子に対応している必要がありますのでよく確認しましょう。
そしてマイクやヘッドホンやモニタースピーカーをこのオーディオインターフェースにつなげて、音声の録音や再生ができるようになります。
このオーディオインターフェースには録音・再生に必要ないろいろな部品が入っていまして、それらの品質によって値段がさまざまです。
オーディオインターフェースの詳しいお話は、また機会があれば別途もうけることにしまして、ここではなんやかんやで独断で判断したおすすめのオーディオインターフェースをいくつかご紹介します。予算によってこれらのどれかを検討されれば問題ないかと思います。
人気DAW「Cubase」のSteinbergによる必要最小限のコンパクトI/O。ベストセラー商品でユーザー情報が多いのも魅力。
※Cubase AIなどの無償版DAWを使用するためには、このUR22などのようなSteiberg社製オーディオインターフェースを購入すると付属しているライセンスが必要です。
マイクプリに定評ある名ブランドFocusriteのコンパクトI/O。初めてでも安心のクオリティ。
世界的ブランドSSLがリリースしたまさかのエントリーモデルI/O。
予算に余裕がある方には、有名クリエイター御用達のRME定番I/O。間違いない品質。
ボーカル用コンデンサーマイク
・ダイナミックマイクはNGです(私見)
よく使用されるマイクには、「コンデンサーマイク」と「ダイナミックマイク」の2種類があります。
このうち、ボーカルの録音に使っていただきたいのは「コンデンサーマイク」です。
「ダイナミックマイクでもいい」「安いコンデンサー使うくらいならダイナミック」という意見の人も多いです。
ですが、また別の話になりますのでここではくわしく触れませんが、ボーカルのレコーディングという用途においては、安くてもいいのでコンデンサーマイクが良いと思います。
大きな理由は「ダイナミックマイクでは録れない音域がある」ということです。質がどうこう以前に、録れてない音域があっては、後でどうすることもできません。
仮歌をお願いしてきた人の中にも、ダイナミックマイクを使っている方がちらほらといらっしゃいました。たいていスケジュールの余裕がありませんから何も言わないのですが、仮歌お願いする場合にも使用マイクが何か、知っておかねばなと思います。
失礼しました。ではおすすめのマイクをいくつか紹介します。
オーディオテクニカの名器4040直系のエントリーモデル。十分な品質。
安くて確かなマイクをリリースしてきたRODEの定番モデル。…あれ、あんまり安くないな(笑)。
独特のルックスで人気のBLUE。愛着の沸きそうなアイテムです。
プロ定番のノイマン。みんなの憧れ。世界の音はこれが基準。
マイクケーブル
マイク買ったら付属していればいいですのにね。どうせ必要なんだし。
マイクケーブルは、それなりに音に影響するわりに、他の機材にくらべて値段が高いといっても限度がありますので、もしも余分なお金をかけるのならまずココじゃないでしょうか。
長さがいろいろあります。自宅の他機材のセッティングにもよりますが、マイクスタンドの高さと、他機材とのほどよい距離を考えれば3メートル~5メートルくらいがちょうどいいのではないでしょうか。
よく「ケーブルはできるだけ短い方がノイズ対策的に吉」みたいな話を聞くと思いますが、5メートル程度以内であれば感知できるレベルの違いはないですよね、というのがぼくの仲間内の共通認識です。部屋の模様替えした際に長さ不足でまた新調しなければならない、みたいなことにならないよう、気持ち長めを持っておくのが良いと考えます。
安心の日本製その1。カナレ。
安心の日本製その2。筆者の中で最高峰のオヤイデ。とても高い。
マイクスタンド
安いもので良いと思いますが、ノイズや振動の問題から、「マイクを手で持つ」という選択肢はありません。必ずスタンドを使っていただきたいです。
机などに取り付けられるアーム式のものなどもあります。
一点だけ注意していただきたいのは、歌をレコーディングする際は「立って」歌った方がいいでしょう。ご自宅の環境に合わせて、立った状態で使えるスタンドを選んでいただきたいです。
標準的なマイクスタンド。ストレートではなく、体との干渉を防ぐためにはブームが基本。
DTM/配信時代の昨今台頭してきたデスク取り付け型ブームマイクスタンド。
ポップガード
「良い歌が歌えているのに、マイクに息が吹きかかってしまってノイズになってしまっている」という、悔やんでも悔やみきれない状況がホントに多いです。
ライブなどでは使わないものなので必要ないように感じられるかもしれませんが、レコーディングにおいてはポップガードの使用は義務です。
ライブなどで使う、いわゆる「ハンドマイク」といわれるタイプのマイクには、先端の網の部分にスポンジがはいっていまして、それがポップガードになっています。
「じゃあハンドマイクでいいじゃん」と思われるかもしれませんが、ハンドマイクは仕方なくああいう構造になっているだけと考えてください。ハンドマイクのポップガードはマイクの集音部分と近すぎるので、「息がポップガードに当たる音」が録れてしまうことがあります。
どうしてもハンドマイク型のマイクを使う場合にも、レコーディングでは必ず別途ポップガードを使いましょう。
主に、柔らかいストッキング生地のような材質のものと、金属の網のようなものの2種類があり、録れる音にも少し違いがあります。
好みでOKだと思いますが、いかんせん唾が飛んで汚れるものですので、掃除しやすいという意味では金属がいいかもしれませんね。
節約したいならストッキングなどで自作できるかもしれません。
ガーゼのハンカチなんかを手で広げて持ってレコーディングしてもいいかもしれません。手が疲れそうですが。
ポップガード。高いものではないのでぜひ使用しましょう。
こちらは金属製。比較的明るめの音色に録れるようです。
密閉型ヘッドホン
録音の際にカラオケ音源をモニターするために、また、録音したデータをチェックしたり編集したりするために、ヘッドホンが必要です。
わざわざ「密閉型」とした理由は、録音時の音漏れを防ぐためです。漏れるよりは漏れない方がいいです。
たまに、片耳だけヘッドホンを外して録音しようとする方もよくいらっしゃいますが、あれはやめていただきたいです。音漏れ、というか、それもう漏れてるんじゃなくてむしろ音を放出してますよね。
面倒でも、多少歌いづらいと思っても、入念にモニターのバランスを設定して、ヘッドホンをしたまま歌うことに慣れていただきたいと思います。
業界標準といえば900ST。標準を知ることは大切です。
マイクのSHUREが満を持してリリースしたニュースタンダード。筆者のイチオシです。
オーテクからも一つ。ちょっといいCDショップの試聴機とかに採用されていそうなやつ。
次の記事ではDAWソフトウェアについてお話します。
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