・目指すのは「とにかく静かな部屋」です。
ボーカルに限らず、レコーディングに適した部屋には下記のような条件があるといわれています。
□ 音の反響ができるだけ少ない
□ 室内にノイズの原因となるものがない
□ 室外からの騒音ができるだけ少ない
ひとつずつ、自宅レベルで実現可能な対策とともにお話していきます。
音の反響をできるだけ減らす
引越し前後のからっぽになった部屋を考えていただければわかりやすいのですが、音は部屋のいろんな場所にとんでいって反響します。
この反響した音をマイクが拾ってしまうと、とても扱いにくいデータになってしまいます。
ミックスにおいて整音する際に、余計な作業が増えるどころか、挽回できないデータとなってしまうこともあります。
基本的には、「レコーディングはできる限りデッド(反響がない)環境で」が理想です。
対策としては、先述のからっぽの部屋の逆で、物をたくさん置く、ということでしょうか。
布やクッションなどの柔らかい物質が多いほうが吸音効果が高いですので、そういう意味でおすすめは「部屋に毛布や洗濯物などを吊るす」ということです。
少なくとも、部屋の壁くらいには、まっさらな状態ではなく、何か洋服をかけておくのがよいでしょう。
マイクの周りをスポンジで囲むような、反響防止用の器具もあります。歌っているときに歌詞を見れなくなりそうですが、反響を抑える効果は抜群でしょう。
よく見る吸音材。スピーカーやマイク周りの壁に貼って使います。ただのスポンジにしては高額な印象ですよね。
マイクを囲んで反響を抑えるアンビエントフィルター。デッドで純粋な音を収録できます。
室内にノイズの原因を置かない
これも、マイクが声以外のものをできるだけ拾わないようにするためです。
・換気扇はつけない。
・「ジーッ」っていうような照明器具や電化製品はOFFにする。
・エアコンはもちろん録音時だけでもOFF。
・床がミシミシいう部屋の場合は立つ場所をかえる。
環境だけでなく、自分自身にも気を配りましょう。
・マイクスタンドに触らない。
・揺れて音がするようなアクセサリーは外す。
・ウインドブレーカーのような布ずれ音の大きい服は脱ぐ。
デスクトップのパソコンを使う場合は、パソコンのファンの音も気になりますので、マイクの向きや位置を調整したり、これまたパソコンの音を吸収するような工夫をします。
室外からの騒音も録らないために
車の音や工事の音、近所の犬の鳴き声など、いい自宅レコーディングを妨げる要素は室外にもあります。
基本的には、誰しもがまず「自分の歌が近所迷惑にならないように」なんかしらの防音対策を考えると思いますので、「外に音が漏れにくい、ということは外からの音も入りにくい」という方針でOKだと思います。
先ほどの「音の反響をできるだけ減らす」部屋づくりでやった対策も少なからず防音にも効果を発揮していると思います。
遮音カーテンや遮音シート、簡易的な防音室など、現代ではいろいろ対策がありますが、ぼくのおすすめは「鉄筋コンクリート造りの物件に住む」です。
これから引越しをする、もしくは引越してもいいかな、という方は、ぜひ念頭に置いていただきたいです。
物件をみるときは、部屋の壁をひととおり「コンコン」とノックして、コンクリートが隙間なく詰まっていることを確認します。
物件探しや契約の際には、歌や楽器を家でやることについては言及しないほうがいいでしょう(笑)。音を出すなら日中、ということを守っていれば、そうそう苦情の対象とはならないように思います。
環境が整ったところで、いよいよ実践ですね。次回はマイクセッティングについてお話します。
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