アーティストの自覚わりと邪魔

アーティストの自覚わりと邪魔

今日は雪の中、2人のやる気みなぎるアーティストさんにお越しいただいてのミーティングでした。

天気悪いしまた今度にしましょうか、と提案したのですが、「いや、僕らには時間がないんで」とのことで。見習うべき姿勢だと思いました。

そのミーティングでは彼らの音楽性や活動方針などを方向転換しちゃう?みたいなことを話し合いましたが、話ながらいろいろ自分の考えが上手い具合にまとまった部分がありましたので記録しようと思います。

これまで自分が関わってきたり自分の周りで動いていたりした「新規アーティストのプロデュース・立ち上げ」という状況で、ディレクターや総合プロデューサーなどの、いわゆる「音作り自体には直接関わらないけど状況把握や企画進行にたずさわる立場の人」たちが皆、同じように、何よりも優先して気にしていたことがあります。アーティストの「ターゲット」「音楽性」「ジャンル感」を絞り込む、ということです。

それを方やアーティストの立場からイメージしてみると、多くのアーティストは;「オレ達の好きな音楽を好きなようにやる。それがオレ達の音楽だ!」という考えの人が多いと思います。でもその考えだけでは上手く行かないことが多いようです。

ふつうに、ただ一つの趣向だけを持っているという人は少ないと思います。アーティスト(表現者)として自覚のある人ならなおさらでしょう。自分の音楽性の幅を広げるべく、いろいろなジャンルの音楽をインプットし、それぞれに良さを見出していることと思います。

そうすると、「好きな音楽を好きなようにやる」という姿勢の場合、先述の「音楽性」「ジャンル感」といったことに関してバラつきが出てしまう可能性が大きくなりそうですよね。あれもやりたい、これもやりたい、みたいな。

そして、「音楽にバラつきがあるアーティスト」=「アーティストイメージが明確にならない」ため、聴き手(ユーザー・リスナー)の立場で考えると、「何をもってそのアーティストとして認識するか」が分からなくなってしまうような気がします。

具体的には、「A」というアーティストのエレクトロニカ風な楽曲「トラック1」が気に入ったので、他のも聴いてみたところ、「トラック2」はR&Bだし「トラック3」はワールドミュージック的なジャンルだったりしたら、結局「『トラック1』は良かったけど他のはあんまり……」ということになりそうです。

そうなってしまうと、「ターゲット」も明確に出来ないため、プロモーションの戦略や方針にも影響が出てきます。結果、聴き手の誰にとっても「特別なアーティスト」という意識をもって捉えてもらうことができなくなってしまうのではないでしょうか。

もちろんそれでも成り立つ(人気がある)アーティストはいるのでしょうが、その場合は例えばボーカルの個性が強烈だったり、アーティストのルックスや人間性の部分にも魅力があったり、といった要素も不可欠になっているように思います。

そこで今日思いついた判断基準がこれ;「10人の人に聴いてもらって、10人の感想ができるだけ一致するような方向性にしよう」です。もちろん、好き嫌いは別にして。そうすれば、「このアーティストはこんな音楽をやっている」というイメージにブレが少ないということになるんじゃないか、というわけです。

そのためにもう一つ今日の課題となったのが、「自分たちの音楽ジャンルに名前をつける」です。

ぼくが以前やっていたバンドでは、始めた当初は「好きな音楽を好きなように作って演ってみる」というノリでした。そうして何曲か完成したところで、「あー、この曲やあの曲の感じ、追求していきたいな」となって意図的に絞っていったという経緯があります。

初期の曲、つまりジャンルを絞る以前の曲も、いい曲だからやろう、という意見のメンバーもいたのですが、ここまで述べてきたように「いい曲だから演ろう」というだけでは安易な気がしています。とくにアーティスト自身にとって自分たちの楽曲というのは、私事なだけに客観的判断が難しいですので、思っている以上に極端に分かりやすく絞り込んだ方向性でいく、くらいが丁度いいのではないかと思っています。

もちろんこれらのことは、「あくまで趣味として活動している」「分かる人にだけ分かってもらえればいい」というスタンスのアーティストにとっては関係ない話ではあります。

それでも個人的には、どんなスタンスの活動であれ、アーティストとして自分たちのことを認識しやすく、ユーザーフレンドリーにするという努力は必要だと思います。責任とすら言って良いという気もします。好きなことやってるんだからそのくらい切り詰めて頑張れよ、という。他のことしたかったらまた別のプロジェクトで、というようにすれば、逆にかえって視野が広がって全体の活動がよりレベルの高いものになるんじゃないかな、と思っています。

 

……真面目な話だなぁ笑

 

木曜a.k.a.まえのめり@48kHz

 


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