ドラマー発DTMerが超絶おススメするドラム音源「EZdrummer」の魅力

今となっては「ぼくはドラマー出身のDTMerです」という説明をすることは全くないほど、知ってくださっている方々の間では単なる「作・編曲家」となってしまいましたが、実はぼくはドラムで大学に行っていたという経歴があります。

……という話をすると、「(それならさぞドラム音源にはこだわっているんだろうから)ドラム音源は何を使っているんですか?」と聞かれるわけですが、名だたる名音源を差し押さえて、ぼくの回答はこれ;

 

TOONTRACK EZdrummer

 

です。

「おもちゃ(TOON)」やら「かんたん(EZ=easy)」やら、ハイエンドのプロフェッショナル音源ではなさそうな雰囲気の名前ではありますが、今日はその過不足なき魅力をご紹介します。ドラム音源はこれを選べば間違いないです、ほんと。

 

 

¶ リアルな演奏表現を追及したマルチサンプル発音

ついさっき知った、音声データを挿入できる機能を使いまして、過去に制作しました某楽曲のドラムパートのみを一部、お聴きください;

↑音源1:EZdrummerによるデモ

今となってはどの音源でも常識、というところもありますが、ドラマー的にうれしい主なポイントが;

 

  1. 同じ楽器でも毎回違う音がランダムで発音される ※スネアのバックビートが分かりやすいので注目ください
  2. ベロシティを下げると繊細なタッチの音質が再現される ※フィルイン中のスネアのバズが分かりやすいので注目ください
  3. ハイハットの音色が多彩!

 

といったところでしょうか。

1.によって、連打しても不自然な打ち込み感が皆無ですし、2.によってバズロールなんかも問題なく再現可能です。

 

 

¶ ハイハットのバリエーションが神

そしてなにより嬉しいのは、ドラムセットの中で最大の表現力をもっているハイハットについては、スティックの当たる位置(ショルダー/チップ)や強さによる音色の違いがいくつも網羅されています。

↑音源2:ハイハット音色のバリエーション(図2のピアノロール再生)

 

↑図2:ピアノロール上のハイハット音色の位置(定番の3箇所のぞく)

その昔、自力で生ドラムをサンプリングしてドラムセット音色のライブラリを作ったことがありますが、その動機がなんといっても「市販の音源ではハイハットの表現が足りない」でした。あの苦労を考えると良い時代になりましたね。

スティックのショルダーによる音とチップによる音を使い分けることによって、ベロシティ同じの完全打ち込みでもリアルなニュアンスが出せるのは、時間短縮にもなってかなり気に入っているポイントです。よき。

 

 

¶ 楽器はセットごと、または個別に変更可能

EZdrummerは「チューニングができない」というのがデメリットとして挙げられるのですが、実は9割くらいの本職のドラマー的には、「ドラム音源にチューニングできる機能は必要ない」、というのが正直なところ(と思われます)。

なぜなら、ある太鼓のベストなチューニングのポイントはそう多くない、と考えているからです。

ですので、非ドラマーなDTMerが「この音源、ドラムのチューニングもできるってよおぉぉ!」と盛り上がっていても、わりと冷静なのがドラマーです。

チューニングの代わりに、ドラムの音色を楽器ごと変更することができます!

↑スネアドラムを選択しているところ

図のように、例えばスネアの場合、DWやらGretchやらLudwigやらSonorやらといった名だたるメーカーの楽器を選択できます。

ぼくのお気に入りは、ポップスがDWまたはLudwig、ハードめなロック曲ではTAMAといったセッティングです。というように、曲に合った楽器選びが可能になっています。チューニングできなくても問題ありません。

また、キックの場合は、ビーターの材質ちがい(フェルトかプラスチックか)でも選べるので、メタルのようにアタックを出したい場合はプラスチックのビーターによる音源を選ぶ、ということも可能です。死角なし。

楽器の変更は、ドラムセット全体で一括して行うこともできます。

 

¶ 強力なミキサー設定

↑図4:ミキサー画面ではリアルなマイキングをシミュレート

音源として、ドラムセットの各パーツはもちろん、オーバーヘッドやルームのマイキングも再現されていて、本物さながらのミックスが可能です。

この画面では、たまに気になるタムの余韻なども調整できます。抜け目ありません。

このミキサー画面の各チャンネルは、図4中オレンジのマルのところで、ホストDAWのミキサーにパラで送ることもできます。完璧やん。

 

 

¶ 唯一の欠点……

ドラマー的に「惜しい!」のは、シンバル類の奏法のバリエーションが限られている点でしょうか。

とくにライドのカップについては、「カップ叩く時のテンションってもっと高いんだけどな……」という感想の音色が1種類のみ、という……。

ライドをスティックのショルダーで叩いたり、クラッシュをチップで叩いたり、という音色もないようです。ほんと惜しい。

とは言え、ベロシティによる強弱の音色がしっかり収録されているため、ジャズ系の楽曲でも不自由を感じたことはありません。EZdrummerやばい。

 

 

 

といった具合に、EZdrummerは、「必要なものを余すことなく備えていて、かつ余計な機能は全くない」という、素晴らしい音源です。拡張パック的な感じで音色のバリエーションライブラリも販売されていますが、無理やり音色を変えている、という印象であんまり使わないです。

ドラム音源はいろいろありますが、アコースティックドラムについては最善最適なチョイスになると思います。

 

 


1件のコメント

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